配管肉厚管理システムの導入により確実な肉厚管理を実施
【背景と課題】
 2004年8月に発生した原子力発電用設備の配管系減肉事象による破断事故等を機に,日本機械学会(JSME)
より火力設備配管減肉管理の技術規格が制定されました。これに基づく火力設備配管減肉管理指針により,
火力発電所では類似事象に対する配管肉厚管理を行っています。
 配管肉厚管理業務は,数多くの測定部位に対する多数の測定点の肉厚計測結果から減肉量を算出し,必要最低肉厚
から余寿命を算出しており,非常に複雑かつ煩雑な作業となります。
演算間違いは許されず,かつ過去の履歴も確実に維持管理する必要があります。
 この配管肉厚管理業務の運用開始当初は,表計算ソフトを利用した,最大減肉率の判断や余寿命計算に非常に
労力のかかる運用を行っていました。また,測定結果のファイル管理が担当者に委ねられ,一元管理が容易でない
面もあり,効率的にかつ確実に管理できるシステムの構築が望まれていました。

【導入システムの概要】
・表計算ソフトにて記録された測定記録をシステムに取り込み,
 測定データとして登録・蓄積します。
・今回測定データ,前回測定データ,配管径や呼び厚さ,
 運転時間データ等から,余寿命計算を自動計算します。
・余寿命計算結果は,管理表として出力されます。
・スケルトン図から測定部位の計測記録や減肉カーブとして
 参照できます。

【システムの特徴】
・測定記録はシステムによるデータチェックが行われ,誤測定データの
 排除が可能
・主管系統図,スケルトン図から測定部位の指定による記録の参照が
 可能による視覚的表示
・測定点毎の減肉グラフ表示
・測定会社の承認,設備管理者の承認他のワークフローによる
 改竄防止機能
・配管取替時の仕様変更に柔軟に対応
スケルトン図表示
管理表表示
計測記録表示
減肉経年グラフ表示

【お客様の声】
・導入にあたって,キーマンとしてご尽力頂きました
中国電力(株)電源事業本部 火力電気技術担当 弘友課長様
へ,お話を伺いました。



中国電力(株)電源事業本部
   火力電気技術担当 弘友課長様

・導入効果
 2007年3月に導入して以降,各発電所に順次展開・運用してきました。運用状況により,細部の機能改良
を進めてきており,発電所からは「このシステムを参照すれば,危険部位が直ぐに判る。」,「誰が余寿命の
演算を行っても同様の結果がでる。」等の声があります。
 表計算ソフトのデータを直接読み込む事で,これまでの作業方法を踏襲出来ているというのも,スムーズな
導入に繋がったとも言えます。

・今後の展望
 これまで,計測に使用されてきた記録表をそのまま取り込むことでスムーズな導入を図りましたが,
運用ルールに委ねていた機能もあり,弊害も生じています。
 現在,データ構成や投入用記録表の見直し等を実施し,更に確実な管理作業が行えるよう改良しており,
合わせて,視野性の向上等により運用しやすい業務システムとして管理業務の支援を行っていきたいと考えて
います。

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